2011年6月1日水曜日

ガソリンの価格が気になるこの夏・・・

 米商務省によると、2011年の小売売上高は毎月小幅ながら増加が続いている。ちなみに4月の小売売上高は前月比0.5%増(前年比7.6%増)の3,8935,500万ドル。1月(0.8%増)、2月(1.3%増)、3月(0.9%増)に比べるとやや増加幅が小さい。業種別にみると、家具(前月比1.1%減)や家電(前月比2.2%減)などの住宅関連部門や、スポーツ・本・音楽を含む趣味・娯楽用品(前月比1.9%減)が不調だったようだ。
 今年の小売売上高を牽引しているのは何よりもガソリン(4月売上高:前月比2.7%増)で、毎月プラスが続いている。特に前年比でみるとその伸びは顕著で、例えば4月の売上高は前年比21.8%増となっている。これには言うまでもなく高騰し続ける小売価格が大きく影響している。4月のレギュラーガソリンの国内平均価格(税含む)は1ガロン当たり3.80ドル。5月以降は毎週3.9ドルを上回る価格で推移し続けており、前年同時期と比べると、1ドル以上も上回る。ちなみにニューヨークでは516日の週で平均小売価格4.14ドルと、すでに4ドルを超えている。

 これから夏に向かい、旅行シーズンはピークを迎える。過去にはこの時期をターゲットにガソリン購入時の消費税免除を期間限定で行った州があったが、今年はどうか。

 ウォールストリート・ジャーナル紙は、ニューヨーク、インディアナ、ニューハンプシャー、イリノイの4州で検討されている州政府による消費税免除期間について触れている。しかし、これはまだ確実な話ではない。というのも消費税免除は一時的に消費者や旅行者に恩恵を与えるが、州の財政には大きな負担となり、長期的にみると結局、消費者にとって不利益に働く結果にもなり得るからだ。ガソリン税は、ガソリン小売価格のおよそ12%。ニューヨークの小売平均価格4.14ドルの場合、1ガロンあたり約49セントがガソリン税として州政府から徴収されていることになる。中型セダン車のガソリンタンクが約18ガロンだとして、満タンに入れると89ドルがガソリン税として徴収されていることになる。現在、ニューヨーク州の自動車保有率は全世帯のおよそ70%強といわれているから(注1)、例えば一日にニューヨーク州のおよそ706万世帯(注2)70%にあたる494万あまりの世帯からガソリン税を徴収した場合、およそ242万ドルが州の収益となると考えると大きい。一時的にほんの10ドル未満の節約を可能にしても、後で州の財政に大きな赤字を引き起こす結果になれば、そのほうが消費者の生活には大きな負担となるのかもしれない。

(注2)センサス局最新データ2000年では7056,860世帯:http://quickfacts.census.gov/qfd/states/36000.html